kobikiss GINZA

所在地   東京都中央区
用途    共同住宅・店舗
構造    鉄筋コンクリート造
規模    地上11階地下1階建
延床面積  1864㎡

 「kobikiss GINZA」は地下1階〜地上2階が飲食店、3階〜11階が共同住宅となっている。敷地は歌舞伎座で賑わう銀座の東部、木挽町通りに面した場所にあり、周辺は老舗の店舗や新しい飲食店、オフィスビル等が立ち並ぶ。人目を惹く外観が望まれるが、共同住宅には2方向避難の確保が必要なことからバルコニーが設けられる。正面に現れるバルコニーを全体のデザインにどのように取り込んでいくかを考えた。
 住戸は40㎡〜138㎡のバリエーションがあり、多様な生活スタイルに対応したフレキシブルなワンルームの間取りを基本としている。西側正面に大きな開口を設けて明るく開放感をもたせたいと考えたが、様々な生活感が表にみえてくるのは好ましくない。西日の入射も懸念された。この条件を成立させるため、250×100×20の大型台形ルーバーを300ピッチで垂直に配置することにした。ルーバーを支える構造材はシンプルにみせたいため、個々でH型鋼にボルト固定する工夫をしている。ルーバーと開口部との間にはメンテナンス空間を確保し、エキスパンドメタルの床を設けている。バルコニーの躯体手摺壁は左官かき落とし仕上げとして趣をもたせ、3階には間接照明で陰影のある光の演出をしている。間接照明は建物トップにも仕掛けてあり、特徴のある軒のラインを光で際立たせている。
 木挽町は江戸時代から続く由緒ある町名であり、低層部の外観は歴史ある場所に馴染む印象をもたせたいと考えた。柱と梁には1枚ごとに異なる発色と粗面のあるせっ器質タイルを採用した。木をキーワードに外装ルーバー、建具、内装の仕上げに木質系の材料を多用するデザインとした。